チェロソナタ第2番 作品5-2

3 21, 2020

今日は作品5-2、第2番について書きたいと思います!

この2番も、1番と同じく2つの楽章から成っています。

1楽章は、ト短調というベートーヴェンには珍しい調で書かれています。ピアノソナタでは同じ時期に書かれた第19番作品49-1のソナタがト短調です。1番と同様イントロダクションで始まりますが、悲劇的な雰囲気が漂いつつ、オペラのアリアのようなメロディーの対話が続きます。そしてこのイントロの最後は静けさに覆われます。休符、音のないところの息を飲む瞬間とピアニシモには反って力強さがあります。
その静けさからピアノのまま速いテンポの提示部に入りますが、最初は悪い予感がするような、語るようなメロディで始まり、しかしその後は嵐のような激しい感情に苛まれる楽章です。少し不気味というか、楽章の最後まで珍しい転調に追われ、静けさと突然来る爆発のコントラストが印象的です。そしてこの1楽章の終わりには(あえて言えませんが)お客様も驚かれることと思います。

2楽章のロンドはがらんと雰囲気が変わり、おどけたようなリズムで始まり、ベートーヴェンのコミカルな面が見えてきます。そしてチェロの色々な音域を出すことによって、チェロならではの音色の魅力が楽しめます。途中に影もあり、私は特にテーマが出てくる前の経過句が毎回遊び心に溢れていて大好きです。最後にテーマが出てくる前の、ピアノの32分音符で半音階ずつハーモニーが上がっていくパッセージは、本当に何かを乗り越えるような心境になります。ユーモラスでときには皮肉でありながら、何か平和で美しいものにたどりつくような、純粋なベートーヴェンがそこにはあると思います。